屋根修理で注目のカバー工法とは? メリット・デメリット・費用相場を徹底解説
屋根材が劣化すると変色や破損で見た目が悪くなるだけでなく、雨漏りを引き起こし住宅の寿命を縮めます。
屋根修理の方法として近年増えてきているのが、カバー工法です。
従来の葺き替え工事に比べると、カバー工法にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
この記事では、屋根のカバー工法について詳しく解説していきます。
目次
カバー工法とは? 屋根の葺き替えリフォームとの違い
屋根の寿命は一般的に、アスファルトシングルは15年~20年、スレートは20年~30年、ガルバリウム鋼板では25年~35年と言われています。
屋根の寿命が近づき屋根材が劣化すると、風雨から家を守る屋根としての機能が損なわれてしまうため、屋根の修繕が必要です。
古い屋根を修繕する方法には、屋根葺き替えとカバー工法の2種類があります。
屋根葺き替え
屋根葺き替えは、古い屋根材を解体・撤去してから新しい屋根材を張る工事方法です。
屋根材だけでなく、屋根材の下にある野地板や防水紙も補修したり交換したりできるため、屋根全体が新しくなります。
また、地震対策としての瓦屋根などの重たい屋根材から軽い屋根材へ葺き替えることも可能です。
カバー工法
カバー工法とは、古い屋根の上に新しい屋根をかぶせて修繕する工事方法のことで、屋根が二重になることから「重ね葺き」とも呼ばれます。
カバー工法で使われる屋根材はガルバリウム鋼鈑、ジンカリウム鋼板、ファイバーグラスシングルの3種類が主流で、どれも軽量かつ耐久性の高い素材です。
カバー工法のメリット
屋根の修繕方法としてカバー工法を選ぶのには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは、カバー工法のメリットについて解説します。
工期が短縮できる
カバー工法では古い屋根を解体し屋根材を撤去する必要がないため、その分工事にかかる期間も短くなります。
一般的な住宅の場合、葺き替え工事では約1週間かかりますが、カバー工法では5日程で工事が完了します。
工事費用が抑えられる
カバー工法は葺き替えより作業工程が少なく工期も短いため、その分工事にかかる費用も節約できます。
また、古い屋根材を撤去する廃棄費用も発生しません。
近隣への粉塵の飛散や騒音が少ない
古い屋根材を撤去する場合は、剥した屋根材から粉塵が飛散したり解体作業の騒音が発生したりします。
住宅が密集しているエリアでは、粉塵の飛散や騒音などで近所迷惑になってしまうことも。
カバー工法では古い屋根材に手をつけないため、粉塵の飛散や騒音は抑えられます。
アスベストの飛散リスクを抑えられる
築年数が古い住宅では、アスベスト入りのスレート屋根材が使われていることもあります。
アスベスト入りの屋根材を解体する場合には有資格者が必要で、アスベストを含んだ屋根材の処分費用も高額になりがちです。
カバー工法ではアスベスト入りの屋根材でも解体する必要がないため、アスベストの飛散を防げ、費用面でも健康面でもメリットが大きいです。
カバー工法のデメリット
何かとメリットの多いカバー工法ですが、デメリットもいくつかあります。
カバー工法を選んで後悔しないためにも、デメリットを把握しておきましょう。
屋根材によってはカバー工法が使えない
一般的な住宅で使われている屋根材の中で、カバー工法での修繕が可能なのは屋根面がフラットな金属屋根、スレート屋根です。
古い日本住宅に多い和瓦、70年代~80年代にかけて人気のあったセメント瓦、おしゃれな洋風住宅に使われるスペイン瓦は、屋根面の凹凸が多いためカバー工法は使えません。
また、瓦屋根はもともとの重量もあるため、さらに屋根荷重が増えるカバー工法は向いていません。
劣化が進んでいる場合はカバー工法は適さない
カバー工法では古い屋根を基本的にはそのまま残すため、屋根材の下にある野地板や防水シートの状態が良好であることが施工可能な条件の一つとなります。
屋根材が劣化して水分を吸収しスポンジ状になっていたり、野地板が雨漏りによって腐食していたりする場合、カバー工法での施工はできません。
屋根が重くなる
カバー工法では古い屋根の上に新しい屋根を取り付けるため、通常の葺き替え工事に比べると屋根が重くなってしまいます。
屋根が重くなると住宅への負担が大きくなり、耐震性にも影響します。
屋根の総重量が増えるのを抑えるためにも、ガルバリウム鋼板などの軽量な屋根材がおすすめです。
まとめ
屋根カバー工法では工事費用も工期も節約できるなど、メリットの多い工事方法ですが、既存の屋根材の種類や屋根の劣化状況によっては施工できないケースも少なくありません。
葺き替え工事かカバー工法のどちらを選ぶかで迷っている方は、カバー工法のメリット・デメリットをしっかり把握した上で、屋根修繕の専門業者に相談してみましょう。